全景 奥に隣接する建物は名張藤堂家屋敷跡
妻側に屋根を2.7m跳ねだして半屋外の前庭を確保した
前庭 こども園の送り迎えをする保護者も利用できるように家具を設置した
門扉及び板塀越しにこども園を望む 板塀は県産材を使用
中庭は屋根のある半屋外空間として新たな遊び場となる
渡り廊下に向けて屋根を約2m跳ねだし軒先も低くすることで、縁側のような空間とした
ランチルーム全景
増築棟の一部は面格子として耐震補強を行った
梁や垂木の架構を見せることで木の温かみを感じることができる
ランチルームの壁には木製の飾り棚を設けて子供たちの作品を展示できるようにした
中庭から園庭を望む
中庭
厨房の一部は子供たちが調理の様子を見られるようにガラスとしている三重県名張市内の幼保3園が統廃合し、幼保連携型認定こども園として生まれ変わる事業コンペの参加からはじまった整備計画。木造平屋のランチルームの増築と既設保育棟の改修を行いました。
隣接する名張藤堂家邸跡との関係を考慮し寺小屋のようなものをイメージし、増築棟は木造平屋建で軒の深い切妻瓦屋根としました。前面道路側には新たに木塀を設け景観の連続に配慮しました。垂木の連続が特徴な内部空間は、11間(1間2.73m)とし、桧柱・杉板・杉圧密フローリングなど可能な限り県産材の木材を使い、おおらかで自然素材あふれる園児やさしい暖かな空間としました。
既存保育棟は、屋上防水や外壁など機能的な改修と共に、園児たちの多様な居場所づくりとして、中に入って遊べる「隠れ家」や木製のジャングルジム、畳のスペースなどを設置しました。また0~2歳の園児のための専用テラスも設けています。
増築棟と既設棟に囲まれた回遊性のある園庭には、緩やかな築山を設け、旧幼稚園時代からの遊具、クスノキや丸型ポストなどを残し、記憶の継承も行っています。また園庭に畑やブドウ棚など食べられる植物を計画、ランチルームの「こどもキッチン」を含め、食育の拠点として、育てるところから食に触れる経験ができるような場所づくりを目指しました。