風土に沿うかたち

風土に沿うかたち 設計で大切にしていること

設計で大切にしていること「設計で大切にしていることは?」と聞かれると、私はいつも「配置計画」と答えます。

建物をどんな形にするか――という前に、まずその土地にどう置くか。敷地に立ち、風や光の流れ、近くの山や街並み、暮らしの気配を感じながら、建物の位置やボリュームをじっくり考えます。初めて敷地に立つときの緊張感。周辺から何を感じ取れるか、それまでの経験や自分の感覚を研ぎ澄ます瞬間です。

この答えは、都市部の建築家との会話の中で出た一コマから生まれました。都市部では敷地が限られ、建物の置き方に大きな自由度がないことが多いため、私の答えをうらやましがられたことを思い出します。逆に地方での設計では、土地の表情を読み取り、建物の配置を伸びやかに考えられる楽しさがあります。

この場所に建築があることで、光や風の通り道がどう変わるだろう。窓から見える景色はどんなふうに広がるだろう。そこに暮らす人たちが、この土地をより好きになるきっかけになるだろうか。そんなことを、ひとつひとつ確かめながら配置を決めていきます。

敷地の力を引き出し、環境と気持ちよくつながる建築をつくるために。そして何より、その土地の魅力をクライアントと一緒に発見しながら、未来の風景を育てていくために。

私たちは「風土に沿うかたち」を、これからも大切にしていきたいと考えています。